[幽霊遭遇] 1982年 体験教育

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あれは小学四年か五年生。昭和57年頃の出来事。

季節は夏または初夏

福岡県のある山の青年自然の家へ一泊する
小学校の行事があった。

山に囲まれた、二階建てコンクリート宿舎。
その前には小さな運動場があった。

その夜の最後のイベントとして、肝試しが行われた。

運動場から、山道をしばらく上り、名簿に名前を書いて降りてくる。
その途中で先生方が、生徒を脅かすというものだ。

 実は、この話では遭遇したその瞬間までの記憶が全く残っていない。
特に理由は無い、単に古い記憶というだけだ。

したがって、この話は、遭遇の瞬間から始まる。


一人目の伊藤先生

肝試しの折り返し地点の名簿の所に、二人の先生が居た。
一人の先生の名前は覚えていない。もう一人の先生は伊藤先生。

生徒にとても人気のある。面白い先生だった。
痩せていて、長身、メガネに、少しおでこが広い先生。

伊藤先生は、岩か切り株か判らないが、座ってタバコを吹かしていた。

私はノートに名前を書き、先生方に「書きました」と伝えた。
「おう」と返事が帰ってきた。


二人目の伊藤先生

下りのルートの途中に、一車線の一般道路を渡る場所があった
そこでは、別の先生が、脅かすこともせず道路に立っていた。

その別の先生の後ろ、数メートル先の暗闇の中に誰かの姿を見た。
しっかりと目を凝らし、まじまじと見た。

間違いなく、伊藤先生が道路の上に立っていた。
 

三人目の伊藤先生

スタート地点でもあり、ゴール地点でもある運動場に戻ると、
伊藤先生は生徒を半円形に座らせ、その前で何かの話をしていた。


気付き

誰かが「今日の伊藤先生の話、怖かったー」と言った。
誰かが「怖かったねー」と言った。

私は 「俺聞いてない、いつ話よったと?」と聞いた。

話によると、私が出発した後くらいから、生徒相手に 怪談を披露していたそうだ。


確認

翌日、腑に落ちない私は、一緒にコースを登り降りした級友に
名簿の所に居た先生は誰かを聞いた。

「○○先生」

「だけ?」

「うん、○○先生だけ」


数名の生徒の話をまとめると、名簿の所には○○先生一人
伊藤先生は、名簿の所には居なかった。

それどころか、一度も肝試しコースに登っても居なかった。

伊藤先生は初め、生徒を送り出す担当をされ、
途中からは、その付近に居た生徒の前でずっと怪談をされていた。



所感

それが何かを問うても、私には答える事はできない。

間違いなく、一度目は気にもせず、二度目はまじまじと
伊藤先生に見えた何かを、私は見た。という事実だけだ。

知人の霊(生霊)と遭遇したのは、これが初めての出来事なので記述した。



注意書き:
可能な限り記憶に忠実に記述しています。
しかし、公開するものであること・記憶の劣化に伴う次の事柄をご了承ください。
(1) 記録であるため、「物語的な結末」は期待できません。
(2) 記事中の写真・地名・人名・店名など、全ての名称は実際のものとは完全に変えてあります。
(3) 人との会話は正確に覚えていない事が多く、その殆どは「こんな感じの会話」です。
(4) 日付を覚えていないことが殆どですので、記録の日付は適等です。
(5) (?)マークの付いた表現は記憶が曖昧であることを意味します。

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