[幽霊遭遇] 1990年 K子(1) 廊下

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あれは、18歳。1990年のできごと。

当時の私の彼女の友達で、皆でよく遊んでいた女性 - K子さんの話。
天神界隈にある専門学校で学んでいた女性なので、18歳・19歳・20歳の何れかだろう。

彼女の頼み

幽霊に遭遇する事を知っていた私の彼女が、次のような頼み事をしてきた。

「K子さんの部屋に幽霊がでるから、引っ越したがっている。でも彼氏は信じない。
K子さんの家に泊まって、幽霊を見て、彼氏を説得してほしい」

なぜ、そんな重要な事を引き受けたのかは、思い出せない。



間取り


K子さんの部屋は、福岡・天神 親不孝通りの交番のある角を曲がり、しばらく進んだとこにあるビル。5Fまでエレベータで上がり、右に向かった3番目(?)の部屋。

間取りを示す。



1日目
何もなし
 

2日め
何もなし
 

3日目 午後11:30分過ぎ

K子さんと私は、フローリングの部屋のテーブルを挟んで話しをしていた。


ビルの廊下から
キィー… キィー… 金属の擦れる音が響いた。

会話が自然と止まった。

K子さんを見ると、不安とも不思議ともいえる表情をしている。
私の空耳では無いようだ。


キィ- キィー  キィー …


その音はゆっくりと、聴き取り辛い程の小さな音へとフェードアウトしていった。
音は止まった。

しかし終わってはいなかった。
今度は、ゆっくりと、はっきり聞こえる程の音量へとフェードインしてきた。

音は、またフェードアウトして消え
しばらくすると、またフェードインして明瞭に聞こえだした。

音量と明瞭ささが、大きくなる、小さくなる、を繰り返している。


音の正体

音の正体について、私は思考を巡らせた。

何度か目の、音の大小の変化を聞くうち
この音が「何なのか」について、最も近いイメージが頭に浮かんだ。

「ビルの廊下を、行ったり来たりしている三輪車」

三輪車を漕ぐ音など、もう何年も聞いていないと思うが
ともかく、その時に脳裏に浮かんだイメージは、それであった。

夜中の一時半に、そんな事をして遊んでいる子は居ないだろう。
しかし、そのイメージが頭に湧くと、そうとしか聞こえなくなった。


キィーコ…キィーコ…キィーコ…キィーコ


深夜のビルのコンクリートの廊下で、ただひたすら三輪車を漕ぐ児童。
まともでは無い。


しばらく、固まったように聞いていたと記憶している。



確認

自分から聞いたのか、K子さんから言われたのか
ドアを開けて確かめることになった。

私は、一気に玄関ドアを開けた。


廊下には何もなく、誰も居なかった。
ただ蛍光灯の静かな光がコンクリートの床を灯しているだけだった。

私は、エレベータの反対側の棟まで行ってみたが
やはり、人っ子一人いなかった。


結局、音の正体は解らず終いとなり、この後には何も起きなかった。



これではない

K子さんが言うには、K子さんが私に見て欲しいという怪異は、これでは無いそうだ。

私はまた翌日も、K子さんの家に泊まりこむこととなった。


K子(2)へ続く。
注意書き:
可能な限り記憶に忠実に記述しています。
しかし、公開するものであること・記憶の劣化に伴う次の事柄をご了承ください。
(1) 記録であるため、「物語的な結末」は期待できません。
(2) 記事中の写真・地名・人名・店名など、全ての名称は実際のものとは完全に変えてあります。
(3) 人との会話は正確に覚えていない事が多く、その殆どは「こんな感じの会話」です。
(4) 日付を覚えていないことが殆どですので、記録の日付は適等です。
(5) (?)マークの付いた表現は記憶が曖昧であることを意味します。

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